歯科医院で行う専門的なクリーニングのことを、PMTCといいます。
PMTCには非常に多くのメリットが存在しますが、その効果を知らずに受けていらっしゃる方も、実は珍しくありません。直接見ることのできないお口の中の処置だからこそ、気になっている方も多いのではないでしょうか。
「しっかり理解して受けたい」という方のために、PMTCの効果や使用する器具、かかる費用や手順、処置後に気を付けることなども含めて、詳しくご紹介します。健康なお口を維持したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
PMTCについて

PMTCとは

PMTCとは専門家(歯科医師・歯科衛生士)が機械的に歯の表面のバイオフィルムを除去・清掃することを
いいます。
P(プロフェッショナル)=歯科医師・歯科衛生士による
M(メカニカル) =機械的な
T(トゥース)=歯の
C(クリーニング)=清掃
の省略です。
PMTCのメリットや効果とは

PMTCで得られる効果で特に注目していただきた3点をご紹介します。
1. バイオフィルムを取る
歯の表面には、目には見えないバイオフィルムという薄い膜が存在します。バイオフィルムは、細菌の繁殖や汚れが付着する原因となるため、除去しなくてはいけません。
しかし、歯ブラシでは除去することはできず、専用の機械を使用するPMTCを受ける必要があります。
2. 歯のツルツル感を味わうことができる
PMTCでは、歯1本1本を丁寧に磨くため、歯ブラシでは得られないツルツル感を味わうことができます。その感覚に驚く方も珍しくありません。
歯の表面がツルツルになることで、汚れが付着しにくくなり、虫歯や歯周病防止にも役立ちます。
3. 元々の歯の白さを取り戻すことができる
歯の表面に付着した汚れや着色を除去することができるため、本来の白さに戻ります。
歯そのものの色を更に白く変えるにはホワイトニングが必要ですが、元々がある程度白い方であれば、PMTCのみでも充分に効果を感じられることでしょう。
PMTCのデメリット

お口の健康維持には欠かせないPMTCですが、
デメリットも存在します。
1. それなりに時間がかかる
PMTCは、歯を1本ずつ丁寧に磨く処置であるため、施術時間は30分〜1時間かかります。汚れが多いとそのぶん時間が必要ですので、余裕を持ってお受けください。
2. 施術後に歯がしみることがある
施術後に歯の表面がしみる知覚過敏の症状が一時的にみられる場合があります。
3. PMTCを受けられない歯科医院もある
歯科医院のなかには、PMTCを扱っていないところも
あります。
「せっかく行ったのにPMTCを受けられなかった」ということがないように、事前に確認しておきましょう。
PMTCで使用する機械
PMTCでは、痛みを感じないよう低速回転用の機械を使用します。
機械の先に専用のブラシを装着し、フッ化物入りの研磨剤をつけた後、歯の表面にブラシを垂直に当てて丁寧に磨いていきます。
歯石除去にはスケーラーと呼ばれる鋭利な器具を使用しますが、歯石が見られない場合は行いません。

目的によって器具を使い分ける
機械の先に装着するものには、ブラシの他にカップ
タイプも存在します。
目に見える汚れを除去する一次研磨にはブラシを、仕上げの二次研磨にはカップタイプをと、目的に合わせて使い分けることが大切です。予防効果が充分に発揮され、見た目もキレイに仕上がります。

スケーリングとの違い
スケーリングとは、歯石除去のことを指します。
PMTCのなかに歯石除去は含まれますが、必ず行うわけではありません。
歯石が付着していた場合にのみ行います。

スケーリングのみでは予防効果は期待
できない
歯の表面に付着したバイオフィルムは、スケーリングでは充分に落とすことができません。
虫歯や歯周病を予防するには、原因となる汚れの付着をできるだけ減らさなくてはいけませんが、それにはバイオフィルムの除去が必要不可欠です。
バイオフィルムを除去して汚れをつきにくくすることが、PMTCを行う1番の目的といえます。

PMTCの費用

PMTCは、病気の治療ではなく口腔ケアの一種であるため、基本的に自費診療で行われますが、歯肉の炎症や出血などが見られる場合は保険が適用されます。
保険が適用される場合、かかる費用は1回につき初診料も含めて3,000~4,000円程度です。
ただし、保険が適用されるぶん時間も制限されるため、納得のいく仕上がりにしたい方は自費のPMTCをおすすめします。
自費のPMTC施術の流れ(保険の一般的な流れ)
PMTCの基本的な手順は以下の通りです。
- 口腔内チェック
- 虫歯や歯周病の有無、歯石や着色の付着具合を確認します。場合によっては、通常の検査と合わせてレントゲン撮影をすることもあります。

- 歯石除去
- 歯石が付着していると、その部分の歯面を磨くことができません。必要であれば先に歯石除去を行います。

- 歯面研磨
- 歯の表面を二段階に分けて丁寧に磨きます。一次研磨で目に見える汚れや着色を落とします。

- 二次研磨で歯の表面を滑らかにして汚れをつきにくく
します。

ペーストの種類
歯面研磨で使用するペーストには、以下の商品を使用
します。
コンクール クリーニングジェルPMTC
ステイン除去から仕上げまで行えるワンステップPMTCペーストです。
一次研磨と二次研磨で研磨剤を変える必要がないため、歯への負担も少なく、時短にもなります。
汚れを吸着する高機能シリカを配合しています。頑固な汚れも簡単に落とすことができ、歯に必要以上の負担がかかりません。効率的にすすめることができます。

リナメル トリートメントペースト
粒子が小さいため、他のペーストよりも仕上がりの滑らかさが良くなります。
歯の再石灰化を促進するナノハイドロキシアパタイトが配合されており、初期虫歯の修復にも役立ちます。

PMTCのあとの歯磨きと歯磨剤
について
PMTCのあとにご自宅で行うお手入れ方法をご紹介
します。
① 歯1本1本を丁寧に磨く
PMTCを受けた直後の歯の表面の舌触りに驚く方は大勢いらっしゃいます。ツルツルの状態を維持するためには、歯の表面に汚れを付けないことが第一条件です。
力任せに磨くと歯の表面が傷つくだけでなく、磨き残しの原因にもなりますので、1本1本丁寧に磨くことを心掛けましょう。
② 自分の口にあった歯磨き粉を使用する
歯磨き粉には様々な種類があり、「合う」「合わない」も人によって様々です。
お口にあった歯磨き粉を見つけるためにも、まずはお口の状況を把握している歯科医師や歯科衛生士に相談してみましょう。
スーパースマイル
研磨剤が通常の歯磨き粉に比べて少ない配合になっているため歯が傷つきにくいのが特徴です。汚れの原因であるたんぱく質フィルムを分解し、着色性の汚れを除去します。フッ素配合で虫歯予防にも最適です。

メルサージュ ヒスケア
硝酸カリウムと乳酸アルミニウムを配合しており、知覚過敏を和らげる効果があります。
着色性の汚れをしっかり除去するので、ホワイトニング前後のケアにも最適です。

まとめ
PMTCは、歯をツルツルにするだけでなく、虫歯や歯周病予防にも繋がる大切な処置です。
歯肉の炎症や出血が見られない場合や審美目的で行う場合は保険適用外となりますが、そのぶん時間をかけて丁寧に行うため、理想どおりの美しい歯を手に入れることができます。
ぜひ処置後のセルフケアも意識して、キレイで健康的なお口を維持してください。
PMTCの症例
現在の治療費と異なる場合がございます。最新の治療費は料金表をご確認ください。
PMTCの症例
症例1
治療前

治療後

年齢 | 51歳・男性 |
---|---|
主訴 | 着色除去 |
治療部位 | 全顎 |
治療内容 | 着色除去(PMTC) |
治療期間 | 60分 |
費用 | PMTC:5,500円(自費診療) (2022年11月現在) |
リスク・副作用 |
・生活習慣(喫煙・コーヒーなど)により再度着色することがあります。 ・PMTCは歯を白くするものではなく着色・バイオフィルムの除去を目的としています。 ・保険適用外の施術です。 |
治療方針 | 初診時は主訴である着色除去(PMTC)を行い、再付着予防の為歯磨剤の選び方や検診の頻度についてお伝えしました。久しぶりの歯科受診で歯石もたまっていたので次回以降で検査・歯石除去(SC)を行っていきます。来年より矯正を行う予定です。 |
担当者所見 | タバコを1日10本、赤ワイン・コーヒーを毎日飲む為着色が気になるとのことでした。 歯の先端付近や歯と歯の間が特に着色していたので歯ブラシの当て方(角度や動かし方)も合わせてお話ししました。 人に歯を見せるのが恥ずかしくなっていたので綺麗になり嬉しいですと喜んでくださいました。審美面の回復により予防のお話も興味を持って聞いてくださりタバコを減らしていくと意気込んでいらっしゃいました。 今後は歯周状態の改善と共に審美面の維持、矯正治療に向けての準備を行って行きます。 |