喫煙は歯を失う最大の危険因子?!その理由とは?

歯と歯ぐきの境目に付着するプラーク(歯垢)に含まれる細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、徐々に進行してゆく歯周病。
歯を失う原因の第一位とも言われています。
予防には正しい歯みがきや歯間ブラシ、定期的な歯科医院でのケアが大切であることはご存じの方も多いのではないでしょうか?
しかし、歯周病を悪化させる危険因子はそれだけではないのです。それは、喫煙。
自分は大丈夫、と思い込んでいませんか?
今日は、喫煙がもたらす歯周病への影響についてのお話しです。
喫煙者は歯周病になりやすい?!
花子
歯周病と喫煙って、一見なかなか結びつかない印象ですけれど…
麗子
そうね、でも、喫煙者の患者さんは、歯に着色があったり、独特の口臭があったり…お口の状態が健康とは言えない人が多いのも確かね。
麻布太郎
喫煙は、糖尿病と並んで歯周病の二大因子と呼ばれるほどに歯周組織に影響を与える生活習慣なんだ。
タバコを吸う人は、吸わない人に比べ約3倍、1日に10本以上吸う場合には約5倍から6倍も歯周病になるリスクを抱えているとも言われているよ。
そして、親御さんに喫煙習慣があると、お子さんにも早期から歯肉へのメラニン色素沈着といった影響を及ぼすこともわかっているんだ。
また、発見が遅れ、知らないうちに重症化してしまうケースが多いんだよ。
タバコを吸う人は、吸わない人に比べ約3倍、1日に10本以上吸う場合には約5倍から6倍も歯周病になるリスクを抱えているとも言われているよ。
そして、親御さんに喫煙習慣があると、お子さんにも早期から歯肉へのメラニン色素沈着といった影響を及ぼすこともわかっているんだ。
また、発見が遅れ、知らないうちに重症化してしまうケースが多いんだよ。
花子
なぜ、喫煙者は発見が遅れてしまいがちなんですか?
麻布太郎
喫煙者の歯周病は、自分の目で見て確認しやすい『歯肉の腫れ』や『歯みがき時の出血』といった炎症症状が現れにくい点が特徴なんだ。
本来なら、病原菌の侵入を防ぐために免疫が防御反応を示して炎症が起こるのだけれど、喫煙者は免疫が低下していて、その防御反応すら起こらなくなってしまうからなんだ。
本来なら、病原菌の侵入を防ぐために免疫が防御反応を示して炎症が起こるのだけれど、喫煙者は免疫が低下していて、その防御反応すら起こらなくなってしまうからなんだ。
麗子
つまり、自覚症状がないままに歯周病が進んでしまうってことなんですね?
麻布太郎
そう。気づかないうちに重度の歯周病になってしまい、歯周組織が破壊され、最悪の場合には歯を失うことにもなりかねないんだよ。

タバコの煙を直接的に受ける口腔内…そこにはどんな影響が?!

花子
先生、喫煙はどのように体に影響をあたえるんですか?
麻布太郎
まず、タバコついて説明しようか。
タバコの煙には、ニコチン・タール・一酸化炭素という三大有害物質、そして化学物質や有害物質、発がん物質など体にとって害でしかない物質が300種類以上含まれているんだ。
歯周病に限らず、がんや心臓病、脳卒中などを引き起こす要因にもなっていることは知っているよね?
タバコの煙には、ニコチン・タール・一酸化炭素という三大有害物質、そして化学物質や有害物質、発がん物質など体にとって害でしかない物質が300種類以上含まれているんだ。
歯周病に限らず、がんや心臓病、脳卒中などを引き起こす要因にもなっていることは知っているよね?
花子
300種類以上??!!
麗子
それほどのものを直接口に含むのは、やっぱりどう考えても健康的とは言えないわね。
麻布太郎
タバコによる害は、煙によって直接口内に受ける影響と、血液循環を介して受ける影響のふたつがあるんだよ。
麗子さんの言うように、タバコの煙が最初に入ってくる口腔内は、直接的に害を受ける部位。
さまざまな影響があって当たり前と言えるね。
麗子さんの言うように、タバコの煙が最初に入ってくる口腔内は、直接的に害を受ける部位。
さまざまな影響があって当たり前と言えるね。
花子
先生、詳しく教えてください!
麻布太郎
まず、喫煙すると、有害物質から歯肉を守るために、メラニン色素が作られるんだ。
麗子
メラニン色素って…あのシミの原因のメラニン色素ですか?
麻布太郎
そう、紫外線から肌を守るためにメラニン色素が作られるのと同じしくみだよ。
メラニン色素によって歯肉が黒ずみ硬くなってしまうんだ。
そして、タールによって歯や歯肉にヤニが付着する。
タールはとても粘り気があるから、歯に付着すると歯みがきだけではとり除くことが難しいし、歯の表面をザラザラにしてしまってプラークがよりつきやすい環境を作りだしてしまうんだよ。
また、喫煙は交感神経を優位にするので、体はいつも緊張しているのと同じ状態。
唾液の分泌量が減って、なおかつ粘り気のある唾液になってしまい、口の中の浄化作用が著しく低下してしまうことにもつながるんだよ。
メラニン色素によって歯肉が黒ずみ硬くなってしまうんだ。
そして、タールによって歯や歯肉にヤニが付着する。
タールはとても粘り気があるから、歯に付着すると歯みがきだけではとり除くことが難しいし、歯の表面をザラザラにしてしまってプラークがよりつきやすい環境を作りだしてしまうんだよ。
また、喫煙は交感神経を優位にするので、体はいつも緊張しているのと同じ状態。
唾液の分泌量が減って、なおかつ粘り気のある唾液になってしまい、口の中の浄化作用が著しく低下してしまうことにもつながるんだよ。
花子
直接的に受ける影響がこんなにも…
麗子
でも、このほかにも血液から受ける影響もあるのですよね?
血流も免疫も低下?!血液を介して受ける影響とは?
麻布太郎
じゃあ、次は、血液を介して受ける影響について説明しようか。
タバコを吸うとニコチンの作用により全身の血管収縮が起こるんだ。
体全体が血行不良の状態になると言ってもいいんじゃないかな。
歯肉の毛細血管へも血流が低下して、栄養分が十分に行き届かなくなり、歯周組織が栄養失調のような状態になってしまうんだよ。
タバコを吸うとニコチンの作用により全身の血管収縮が起こるんだ。
体全体が血行不良の状態になると言ってもいいんじゃないかな。
歯肉の毛細血管へも血流が低下して、栄養分が十分に行き届かなくなり、歯周組織が栄養失調のような状態になってしまうんだよ。
花子
歯肉にまで血行不良という症状があるなんて知りませんでした
麻布太郎
それだけじゃないんだよ。
タバコを吸うと、煙と一緒に一酸化炭素を体内に吸い込んでいるんだ。
本来なら、血液中のヘモグロビンと酸素が結びつくことで体のすみずみに酸素が運ばれるのだけれど、一酸化炭素は酸素に比べて200倍もヘモグロビンに結びつきやすい性質があるんだよ。
そのため酸素とヘモグロビンが結ばれず酸素の運搬機能が低下してしまって、体は酸素不足の状態になってしまうんだ。
栄養を運べないだけでなく、老廃物の排出も困難になるんだよ。
タバコを吸うと、煙と一緒に一酸化炭素を体内に吸い込んでいるんだ。
本来なら、血液中のヘモグロビンと酸素が結びつくことで体のすみずみに酸素が運ばれるのだけれど、一酸化炭素は酸素に比べて200倍もヘモグロビンに結びつきやすい性質があるんだよ。
そのため酸素とヘモグロビンが結ばれず酸素の運搬機能が低下してしまって、体は酸素不足の状態になってしまうんだ。
栄養を運べないだけでなく、老廃物の排出も困難になるんだよ。

花子
こわいですね。
麻布太郎
まだあるよ。
ニコチンは、体のさまざまな機能を外敵から守る免疫機能にも影響を与えるので、免疫力が低下し、抵抗力も落ちてしまうんだ。
ニコチンは、体のさまざまな機能を外敵から守る免疫機能にも影響を与えるので、免疫力が低下し、抵抗力も落ちてしまうんだ。
麗子
抵抗力が落ちたら、なおさら病気になりやすいわね。
麻布太郎
このように、血管収縮による血流低下や免疫力低下といった影響を歯肉が受けると、病原菌はますます活発になり、歯周組織の破壊が進んでしまうのです。
そのため、どんなに歯周病の治療をしていたとしても、喫煙している限り治りにくく、また完治はしないのが事実です。
でも、喫煙をやめさえすれば、危険性が格段に下がっていくことも研究でわかっています。
まずは禁煙し、正しいプラークコントロールや、歯科医院でのケアをおこなうことで、歯周病は大幅に改善することができるのです。
そのため、どんなに歯周病の治療をしていたとしても、喫煙している限り治りにくく、また完治はしないのが事実です。
でも、喫煙をやめさえすれば、危険性が格段に下がっていくことも研究でわかっています。
まずは禁煙し、正しいプラークコントロールや、歯科医院でのケアをおこなうことで、歯周病は大幅に改善することができるのです。
麗子
喫煙者の人は、やはりもう一度自分の喫煙習慣を真剣に見直してみてほしいですね
麻布太郎
その通りだよ。禁煙することで、口臭がなくなるし、食べ物もおいしく感じられるようになる。
それにガンや脳卒中といった病気のリスクも減らすことができるからね。
それにガンや脳卒中といった病気のリスクも減らすことができるからね。
まとめ

喫煙者の歯肉の老化は吸わない人に比べ20年近くも進んでしまうと言われています。
いつまでも、健康な歯でおいしくものを食べるためにも、また、歯以外の健康を守るためにも大切なのは禁煙することといえるでしょう。
そして、喫煙は自分の健康問題だけではなく、周囲にも大きな影響を及ぼすことも忘れてはいけません。