最初に

ホワイトニングとは、歯そのものの色を白くすることです。対して、歯の表面の着色や歯石を取ることを歯のクリーニングといいます。今回はホワイトニングについて解説していきます。
歯科医院でのホワイトニングとは

歯科医院で行うホワイトニングには、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングとその両方を行うデュアルホワイトニングがあります。
オフィスホワイトニングとは強めの漂白剤を使用して歯科医院で行うホワイトニングのことです。比較的早くホワイトニングの効果を実感していただける方法になります。
ホームホワイトニングとは、家でご自身で行っていただくホワイトニングになります。マウスピースを使用するので、嘔吐反射が強い方には向かない方法になります。
デュアルホワイトニングとはオフィスホワイトニングとホームホワイトニングの両方を行う方法になります。両方のメリットを享受しつつ、デメリットを一部打ち消した方法になります。
自分に合ったホワイトニングの方法を選び、効果的にホワイトニングをしていくことがおすすめです。
歯科医院でのホワイトニングのメリット

歯科医院でのホワイトニングはなんと言っても、歯科医師や歯科衛生士によるお口の中のチェックが行えるということでしょう。
虫歯や歯周病がある状態でホワイトニングを行なった場合、ひどくしみたり、効果が出にくいといったことが起こり得ます。
また、ホワイトニングを行うとしみるといった症状が出ることがあります。その症状に対してしみないように薬液を塗ったり、歯のミネラルの補充を行うことで痛みに関しても軽減することができます。
また、当院ではホワイトニングの効果が出やすいように、ホワイトニング前にはクリーニングも行っています。
歯科医院でのホワイトニングの
デメリット

ホワイトニングのデメリットとしては以下の点になり
ます。
1. 歯が染みる
どうしても歯に強い薬剤を塗布するため、歯の神経が一時的に興奮してしまうからです。それに対しては対策もあり、歯にしみ止めのお薬を塗ったり、ミネラル補充のペーストを塗布することで対処できます。
2. 色ムラができることがある
同じ歯の歯の中でも成分の違いから色ムラができることがあります。ホワイトニングを続けることや、時間の経過で色ムラがなくなってきます。
3. 食事の制限
色の濃い物(カレー、コーヒー、紅茶、ワイン、タバコなど)はホワイトニングを行なった当日中は避けましょう。また、施術後30分は飲食を控えてください。
4. 虫歯や歯周病がある場合は
ホワイトニングができないことがある
虫歯があると、強くしみるため、おすすめしていません。また歯周病がある状態でホワイトニングを行うと、歯周病を進行させてしまったり、ホワイトニングも効果が出にくいと言ったことがあるため、お口の中が健康になってからホワイトニングをするのがベストです。
5. 全ての方にできるわけではない
妊娠されている方、授乳中の方には施術ができません。また、光過敏症の方には、光照射のあるオフィスホワイトニングを行うことができません。無カタラーゼ症の方はホワイトニングをしても効果がでないです。
メリット・デメリットのまとめ

※テーブルは左右スクロールできます。
オフィスホワイトニング | ホームホワイトニング | デュアルホワイトニング | |
---|---|---|---|
スピード | 早く白くなる | ゆっくり白くなる | 早く白くなる |
適応 | 前から3〜4番目の 12〜16本が対象 |
お口の中の全ての 歯が対象 |
全ての歯が対象 |
しみやすさ | しみやすい | 自分でコントロール 可能 |
しみやすい |
あともどり | はやい | おそい | おそい |
違和感 | 特になし | マウスピースの 装着あり |
マウスピースの 装着あり |
チェック | 歯科医師・歯科衛生士 のチェックが行える |
歯科医師・歯科衛生士 のチェックが行える |
歯科医師・歯科衛生士 のチェックが行える |
痛み | しみる可能性があるが、 医院で対処可能 |
強い薬剤で染みる 可能性がある |
しみる可能性があるが、 医院で対処可能 |
きれいさ | 最初にムラがでる 可能性がある |
ムラになりにくい | ムラになりにくい |
簡便さ | 医院に来院する必要 がある |
薬剤があれば繰り返し 可能 |
医院に来院する必要 がある |
ホワイトニングの意外な効果

ホワイトニングをすることの大きな目標としては、歯を白くすることです。
じつは歯を白くすること以外にも大きなメリットがあるのです。それは、歯がツルツルになることです。
歯がツルツルになると、新しく歯へステインなどの着色がつきにくくなります。また、プラークなどの汚れもつきにくくなりますので、虫歯や歯周病の発生もおさえられる可能性があります。
ホワイトニングの薬剤

ホワイトニングに使われる薬剤とは一体何でしょうか。ホワイトニングの種類などによって使われる薬剤が違いますので、それぞれ説明していきます。
1. 過酸化水素
ホワイトニングにおいて、もっとも効果的かつ強力な薬剤が、過酸化水素です。これを薄めたものが、市販のオキシドールになります。
洗剤などでもご存知だとは思いますが、いわゆる酸素系の漂白剤ですね。濃度が高いため、口唇や頬粘膜、歯ぐきや皮膚に付着してしまうと火傷をしてしまいますので、歯科医院内でしか使用できない薬剤になります。そのため、ホワイトニングでは、オフィスホワイトニングのみこちらの薬剤を使用できます。
2. 過酸化尿素
過酸化水素に次いで効果が高いものが過酸化尿素になります。ホームホワイトニング用のジェルに含まれている成分になります。
過酸化尿素は分解されると過酸化水素になります。そのため、効果は過酸化水素と同じなのですが、濃度が薄いため、効果が緩徐的になります。
過酸化尿素の濃度が10%に対して、分解されて生成される過酸化水素は3%ほどになります。
3. ポリリン酸ナトリウム
こちらは、セルフホワイトニングなどに使われている薬剤になります。
ポリリン酸は実はホワイトニング効果はないのです。ただし、歯の表面をツルツルにしたり、歯についたステインなどの着色汚れが落ちるという点では良いですが、歯そのものの色を白くする効果はありません。
セルフホワイトニング

昨今セルフホワイトニングというものがあり、ホワイトニングを気軽にできるようになっています。しかし、注意しないといけないのは、先程申し上げたように、セルフホワイトニングは歯科医師が行う施術ではないため、強い薬剤は使えません。
ポリリン酸ナトリウムを使用するホワイトニングになるため、本当の意味でホワイトニングではないのです。歯についた着色を浮かせてくれる効果はありますが、歯そのものの白さには変化がないためです。
使う薬剤が違うため、比較することは難しいですが、歯科医院で行うホワイトニングは高価かつ効果もでやすいですが、セルフホワイトニングは安価で、効果はでにくいが、しみるなどのリスクが少ないということがメリットになります。
我々歯科医師からセルフホワイトニングをみると、歯のクリーニングに近いものと考えてます。また、ホワイトニングサロンなどエステや美容室で行われているホワイトニングもセルフホワイトニングと同様です。
メリット | デメリット |
---|---|
安価 | 歯のチェックは 行えない |
着色した汚れが 取れる |
歯の白さは 変わらない |
痛みが出にくい | 自分で全て行う |
歯科医院とエステの違い

歯科医院とエステ(セルフホワイトニングなど)で行うホワイトニングの違いについてまとめてみましたので、ご自身に合った方法をみつけましょう。
※テーブルは左右スクロールできます。
歯科医院 | エステ | |
---|---|---|
白さ | 歯を白くできるし、 汚れも落とせる |
歯は白くならないが 汚れは落ちる |
施術者 | 国家資格をもつ歯科医師、 歯科衛生士が行う |
自分で行う |
価格 | 高価 | 安価 |
適応 | 歯の状態によっては 適応できないことがある |
誰でもできる |
しみやすさ | 歯がしみることがある | 歯がしみることがある |
対処 | しみた場合の 対処法がある |
自己責任 |
使用薬剤 | 過酸化水素・過酸化尿素 | ポリリン酸ナトリウム |
ライト | オフィスホワイトニングはライトを使用。 ホームホワイトニングは不使用。 |
ライトを使用 |
施術後の制限 | 1日は着色物を避ける | なし |
ホワイトニングの費用について

歯科医院で行うホワイトニングとホワイトニングサロンの料金相場について説明します。歯科医院でのホワイトニングにはオフィスホワイトニングとホームホワイトニングとデュアルホワイトニングがあります。歯科医院以外のホワイトニング、つまりセルフホワイトニングと比較すると、歯科医院でのホワイトニングは高価である傾向があります。それはなぜでしょうか。
1つ間違いないのは人件費でしょう。歯科医院で行うホワイトニングは国家資格を持つ歯科医師や歯科衛生士が施術しますが、セルフホワイトニングは全て自分で行うからです。
そして次に考えられるのは薬剤です。歯科医院で行うホワイトニング用の薬剤は業者から仕入れることが多いです。しっかり効果のでるものになると有名企業の販売しているホワイトニング剤になることが多く、そういったものはやはり高価なため、直接施術料金に響くのです。
また、ホームホワイトニングはカスタマイズしたマウスピースも作る必要があるため、その材料費や制作料が加算されますね。
最後に、やはり歯科医師や歯科衛生士によるチェックがあるでしょう。虫歯などがないかどうかをチェックした上で安全に行え、施術後のしみるといった症状が出た場合にもしっかり対処できるからです。そういった違いにより歯科医院での費用は高くなっている傾向にあります。
ホワイトニングの 種類 |
相場 |
---|---|
オフィス ホワイトニング |
20,000円〜 50,000円 |
ホーム ホワイトニング |
20,000円〜 40,000円 |
デュアル ホワイトニング |
40,000円〜 80,000円 |
セルフ ホワイトニング |
2,000円〜 5,000円 |
ホワイトニング歯みがき粉について

ホワイトニング用の歯みがき粉は市販でもかなりたくさんの種類がありますね。どれが自分にあった歯みがき粉なのか、なかなかわからないですよね。どういったものがあるのかを説明していきます。
1. 性状
歯みがき粉には、ペーストタイプ、ジェルタイプ、液体タイプ、パウダータイプがあります。ホワイトニング用の歯みがき粉は歯に停滞させるため、ペースト、ジェル、パウダータイプが多いです。
ペーストタイプは発泡剤が含まれていることにより、泡だちがよくなっています。しかし、逆に泡立つことで満遍なく磨けないということもあります。ジェルタイプは泡立ちにくく、視界がはっきりしているため、磨きやすいことが特徴です。
パウダータイプは歯ブラシにパウダーをつけて磨くものになります。市販のホワイトニング歯みがき粉はこのタイプがおおいです。液体タイプは液体を口に含んだままもしくは口に含んだものを捨てたあとに歯ブラシをするものになります。
2. 研磨剤配合・非配合
研磨剤が入っていると、歯の表面を傷つけてしまいやすいです。「スクラブ入り」というのが研磨剤がはいっている証拠になります。スクラブは歯の表面を傷つけるだけでなく、歯ぐきの中にはいりこんで、細菌のすみかにもなり得ますので、おすすめしません。
研磨剤が入っていないタイプはジェルタイプの歯みがき粉に多いです。もちろん、ペーストタイプにもはいってないものもありますので、表記をしっかり見ることをお勧めします。
ホワイトニング歯磨き粉は
歯がボロボロになる?

前述したように、どんなホワイトニング用の歯みがき粉を使用するかがキーポイントになります。研磨剤が多く入っているものを使えば確かにステインなどの歯の汚れは落ちるでしょう。
しかし、それは歯の表面を傷つけていることにもなります。そういったものを使用する場合は、ホワイトニングで歯がボロボロになると感じるかもしれません。
しかし、研磨剤が入ってないものを選択することで、歯の表面が傷つくことはなくなりますので、安心安全に使用できます。
また、歯みがき粉ではなく、歯科医院で行うホワイトニングも歯の表面を傷つけているわけではないので、歯がボロボロになるということはありませんのでご安心くださ
いね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ホワイトニングには歯科医院で行うものとエステなどで行う方法があります。
エステで行うホワイトニングははっきりいって本当のホワイトニングではありませんし、効果も出にくいことがわかっています。
安全に行うにはやはり歯科医院のホワイトニングがおすすめです。
歯のホワイトニング 歯を綺麗にしたい