フッ素の有効活用で虫歯予防
フッ素とは?

フッ素は自然界に存在する元素の一つで私たちが普段口にしている緑茶や魚介類等にも含まれている身近なものです。
虫歯予防にはフッ素という言葉を聞いたことはありませんか?
なぜフッ素が虫歯予防に有効なのか?
そのメカニズムや使用方法や回数、ご自宅でも簡単にフッ素を取り入れる方法をお伝えします!
フッ素が歯を虫歯から守るメカニズム
フッ素が歯を強化してくれる!
食事を行うと歯の表面からカルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出し(脱灰)、唾液が中和し元の状態に戻します(再石灰化)。この脱灰と再石灰化がバランスよく保たれているときは虫歯になりにくい状態です。
しかし、歯ブラシ不足でプラークコントロールがうまくできていなかったり、間食が多く脱灰ばかりが進むと虫歯になります。フッ素塗布を行うと再石灰化が促進され初期虫歯であれば治りますし、表面の結晶構造を強くするため歯質の強化になり脱灰しにくくなるのです。
子供の歯は特に効果大!

小さなお子様の歯にフッ素塗布は特に有効です。塗布する時期は生えたてが最も効果的です。生えたての歯はフッ素を取り込みやすいので早い段階で初めておくと丈夫な歯に成長します。
乳歯は大人の歯に比べ組織が薄く柔らかいので歯が溶けやすく虫歯になりやすいと言えます。また虫歯になってしまっても年齢によっては治療が困難な場合があります。
そこでフッ素塗布を行い大事なお子様の歯を虫歯から守りましょう。ぶくぶくうがいが自分でできるようになったらおうちでも低濃度のフッ素配合の歯磨剤を1日1〜2回使用すると良いです。歯科医院での高濃度のフッ素は3ヶ月に1回を目安に塗布すると良いと言われています。
大人にもフッ素は有効?
もちろん永久歯にもフッ素は有効です。定期的に(3ヶ月に1回程度)歯医者さんで高濃度のフッ素を塗布することで虫歯になるリスクを20〜30%減らせると言われています。
大人は虫歯にならないよう丁寧な歯磨き等自己管理が必要ですが現代人は忙しく、歯ブラシをしないまま寝てしまったり、ついつい間食が多くなってしまうこともあると思います。
虫歯予防には歯ブラシによるプラークコントロールが最も重要ですが、フッ素をうまく利用し虫歯予防をしていくことも大切です。
どのようにフッ素を取り込むの?

フッ素の利用方法は大きく分けて3つあります
・フッ素配合の歯磨き粉の使用
ご家庭ででき、一番手軽にフッ素を取り込むことができる方法です。製品によってフッ素濃度が異なるのでしっかり確認しましょう。歯ブラシのたびに使用することで効果が期待できます。
・フッ素洗口
歯科医院等で購入しご家庭で行なっていただく方法です。製品濃度により使用頻度が異なりますが永久歯が萌出した4歳ごろから15歳ごろまでが対象です
・フッ素塗布
歯科医院で歯科医師・衛生士の管理のもと行う方法で歯に直接高濃度のフッ素を塗布します。1歳半頃から行うことができ年に数回行います。
歯磨き粉に含まれるフッ素の種類
現在歯磨き粉に含有されるフッ素は主に2種類です。
まず一つ目はフッ化ナトリウム(NaF)。フッ化ナトリウムはイオン化しやすく歯への取り込みが早いのが特徴です。ほとんどの製品はフッ化ナトリウムです。
もう一つはモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)です。モノフルオロリン酸ナトリウムはフッ化ナトリウムに比べ毒性の少なさが長所になります。過度な心配は不要ですがフッ素には摂取量の制限がありますので小さなお子様に使用する場合はモノフルオロリン酸ナトリウムがおすすめです!
歯磨き粉の虫歯予防効果はどれくらい?

フッ素含有歯磨き粉の虫歯予防効果はかなり高く世界的に報告があり、およそ30〜40%と言われています。
高齢者の方に多い根面う蝕(歯の根っこの周りが虫歯になってしまう)が70%も予防効果があると報告されています。
つまり、せっかく歯磨きを行うならフッ素入りの歯磨き粉を使わなければ勿体無い!手軽に手に入り継続しやすい予防薬と言えます。
歯医者さんの歯磨き粉の特徴
歯医者さんにおいてある歯磨き粉(歯磨剤)の特徴は様々な種類から歯科医師・衛生士が選び抜いた効果の高いものが揃っている事です。
私たちが歯磨き粉を選ぶ基準は以下の通りです
・研磨剤含有量が少ない又は無配合で歯や歯茎を傷つけないもの
・フッ素濃度が明確で濃度の高いもの
・信頼のおけるメーカーのもの
・味や香りがよく使用感の良いもの
以上の大きな4つの項目から厳選した歯磨き粉をご紹介します!
スーパースマイル

含有フッ素:モノフルオロリンナトリウムフッ素濃度 :1000ppm
その他含有成分: カルプロックス(酸化カルシウム)*歯の着色汚れを分解するスーパースマイル独自の成分
スーパースマイルはフッ素を取り込みやすいリン酸ナトリウム系を使用しています。
また着色(ステイン)などを効率的に落としてくれるスーパースマイル独自の成分であるカルプロックスを使用しているので虫歯予防と着色予防が同時にできる優れものです!
SPTジェル

含有フッ素:フッ化ナトリウム
フッ素濃度:1450ppm
その他含有成分:酢酸トコフェロール(ビタミンE)
歯肉の防御
トラネキサム酸
歯肉の炎症・出血抑制
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
バイオフィルム内部の浸透殺菌
SPTジェルの特徴はフッ素の添加限度いっぱいまでフッ素が配合されているため、虫歯予防に最適です。またIPMPという成分が含まれているためお口の中の細菌に対して歯ブラシでは落とせない細菌膜の中に浸透して効果的に殺菌してくれます。
したがって1本で虫歯予防歯周病予防ができる優れものです!
コンクールジェルコートF

含有フッ素:フッ化ナトリウム
フッ素濃度:950ppm
その他含有成分:塩酸クロルヘキシジン
殺菌効果
コンクールの特徴は、何と言ってもクロルヘキシジンという殺菌作用が高い成分が配合されていることで歯周病予防に効果的です。発泡成分は含有されていないため長時間歯磨きができることと高濃度フッ素配合のため虫歯予防も期待できます!
MIペースト

フッ素以外で再石灰化を促すなら、MIペーストがオススメです!カルシウムやリンがミネラルを補給し虫歯になりにくい環境を作ります。
フッ素配合歯磨剤の後にやるとより効果的ですがブクブクうがいができないお子様にも安心して塗布できます。
※牛乳アレルギーの方は使用できません
歯医者さんでのフッ素塗布
当院では歯科医師・衛生士管理のもと定期検診の最後に、フッ素塗布を行なっています。
クリーニング後のバイオフィルムを除去した綺麗な歯面はフッ素を取り込みやすく効果がより期待できます。
当院で使用しているのは取り込みのいいフォームタイプのものでフッ素濃度は9000ppmと超高濃度です。フッ素塗布後は30分間飲食を控えていただきますと虫歯予防効果が長続きします。
バトラーフローデンフォームN

含有フッ素:フッ化ナトリウム
フッ素濃度:9000ppm
ご家庭の毎日のケアももちろん重要ですが専門的なフッ素ケアを行うことは予防の観点からも非常に重要です。
定期検診の重要性
これまでフッ素による虫歯予防の効果を説明してきましたが
一番重要なのは日頃の適切な歯ブラシによるプラークの除去と定期的な歯科医院での検診です。
そこにフッ素をうまく利用することが理想的です。
定期検診は虫歯の早期発見早期治療につながり、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアは虫歯予防・歯周病予防に必要不可欠です。
ぜひ、フッ素塗布も含め一度検診にお越しください!